新入社員の一つの壁となってくるのが、名刺の存在です。
物理的に考えると、ただの小さな紙でしかありません。しかし、この小さな紙を受け渡しすることが非常に大きな意味を持ってくるため、新入社員の壁となって立ちふさがってくると言えます。だからこそ、研修でもターゲットにして行なっていきますが、今一つ理解しないまま終わることも少なくありません。
慣例的に行なわれている部分があるのも確かであり、慣れが必要と言われるのも間違いではないでしょう。しかし、油断をすると大きな失態に繋がる可能性が出てきます。
マナーというものは社会人として知っていて当然であり、知らないということも知ろうとしなかったことと同義であるという風に捉えられることもあります。
交換する場合に、真っ先に重要になるのがお互いの立場です。
出し方や受け取り方の前に、お互いの関係を考えていかなければ行動の基準が出てきません。これができないからこそ、混乱して失敗も招くこともあります。
立場がわかると、受け取る側なのか差し出す側なのかということが分かってきます。
例えば、自分が訪問者なのであれば差し出す側になるでしょう。基本として、目上の人に受け取ってもらうということが多くなります。
ただ単に渡すだけではないということを忘れてはいけません。だからこそ、先に受け取ってもらうことが重要で、立場が下の場合には先に受け取らないようにしましょう。
さらに、相手よりも名刺を高い位置に出すのではなく、低い位置に出して受け取ってもらえるようにしなければいけません。そのためには、先に差し出すことが常識ですし、先に出していただいたときでも相手より先に受け取らないようにしましょう。
名刺を頂くときにも、「頂きます」「頂戴いたします」と一言掛けることがマナーになります。
社会人になるとやはり第一印象は大事な部分になりますし、これは難しいことではなく当たり前のことを発するだけです。
名刺の受け取り方として考えた時に、どうやって受け取るのかということを考えていくことになります。これは上も下もありません。
名刺というのはどんな存在なのかと言えば、相手の名前や会社、役職などが書いてあり、存在を示すものであると言えるでしょう。
例えるのであれば、顔のようなものです。
最近では、写真やイラストを入れているところもたくさんあります。こうした名刺を受け取るということで考えるのであれば、名前やロゴなどに指を掛けるのは失礼にあたります。だからこそ、受け取り方としては文字やロゴに指がかからないように端を持つようにしましょう。
もちろん、名刺にメモ書きなどをするというのは、相手の名刺を汚してしまうことになりますのでマナー違反になります。また、名刺をスキャンして捨ててしまうというようなことは、間違ってもしないようにしましょう。自分のものがこうした扱いを受けたらどう思うのか、考えれば難しいことではないでしょう。
そして、受け取るときには名刺入れを座布団やお盆として考えて使っていきます。直接受け取るのではなく、ワンクッション置くようにするのがマナーです。
当然のことですが、よれよれのものを出したりするのは失礼ですし、折れ曲がったりしたものも差し出してはなりません。汚れているものも使わないようにすることが大切です。
社会人として考えると、どれも難しいことではなく当然のことであることが見えてくるでしょう。
受け取り方は難しくありませんが、1対1ではなく複数ならどうするのかということも出てきます。
確実なのは訪問者から出すことですが、誰が一番格上かがわかりにくいときもあるでしょう。受け取り側は格上の順で出していくことになりますので、その動きを見て合わせて素早く名刺を取り出し渡していくことが一番です。そのためにも、素早く行動できるようにしていかなければいけません。
訪問する側として複数で伺うときには、格上が先に名刺を出すことになりますので、その動きに合わせるようにしていくと失敗することはないでしょう。
よくある失敗例として、机を挟んで受け渡しするということがあります。できることならば、相手の位置に移動して受け渡しすることが重要です。
もしも、先に出されてしまった場合には、わざわざ移動して受け渡しするのは失礼ですので、先に頂くことを謝罪し受け渡しをしましょう。
片手で受け取るのかどうかということもありますが、同時に交換するようなときに起きることです。この時には、右手で差出し、左手で受け取るというのが慣例です。受け取り方として名刺入れの上に乗せて受け取れば、失敗はないでしょう。
名刺は相手の顔と考えれば、扱いは必然的に思い浮かんでくるはずです。
こうしたことを理解して、相手の立場との関係も考えて整理しておくといいでしょう。