初対面の者同士で名刺のやりとりをする、日常のビジネスシーンでよく見られる光景です。
ビジネスでなくとも、一般社会人ならばほとんどの人が誰かから名刺を渡された経験があるのではないでしょうか。渡された一枚の紙には、その人が所属する企業名や部署名・肩書き・連絡先など基本的な情報が記載されています。
企業によっては、社員一人ひとりが有する資格や趣味などを記載しているところもあり、そこから話に花が咲くこともあります。しかし、会ったその時はその人を認識できたとしても、時間が経つとその顔を忘れてしまうことも多いものです。印象に残りやすい顔立ちをしているとか頻繁に顔を合わせる人はともかくとして、ほとんど会うことのない人に関しては覚えていることの方が少なくなるでしょう。そんなとき、名刺の主の顔が判るようにしておくととても便利です。
写真入りのものはそれに応えてくれる最たるものですが、これにも欠点がないわけではありません。写真は写りによって印象が変わったり、時に別人に見えてくることさえあります。
そういったものは、撮ったときの状況や撮影者の技術などに由来することがほとんどですが、普段の自分とは異なる顔で写っているということもあります。また、写真自体が苦手という方も多くいます。
そこで考えてみたいのが、似顔絵入りの名刺です。似顔絵はその人の顔の特徴を強調して表現するので、写真よりもインパクトがあります。写真のように顔全体を捉えるというよりはその人の個性に焦点を当てるため、おのずと顔を覚えやすくなるというメリットがあります。
写真入りのものはよく見かけますが、似顔絵入りのものは希少です。一枚の小さな紙に描かれた持ち主の顔は、緊張感漂うビジネスシーンに少しばかりの穏やかさをもたらしてくれるかもしれません。
顔の中でも特に特徴のあるパーツをデフォルメしたもの、特にどこを強調するでもなく素直に見たままを描いた素描タッチのもの、ひとくちに似顔絵といってもその表現方法は様々です。それだけに、時として描写の仕方が場にそぐわないこともあります。
例えば、葬祭社のスタッフのような厳かな雰囲気の企業の方の名刺が風刺画やキャラクター調の似顔絵を使用したものであれば不相応であるとしか言えません。こうした場合には、デフォルメされたものよりも単純で素朴な表現をしたもの、もしくは、却って何もないごく普通の名刺の方がいいでしょう。
このように似顔絵入りの名刺は、TPOを選ぶといっても過言ではありません。それだけに、採用するときは持つ人の職種にあった描き方を選ぶのが大切なポイントです。
そしてもう1点、名刺に似顔絵を入れるとなると、当然ながら名刺を使う一人ひとりの似顔絵が必要になります。名刺を作る人数が少ないのなら、さほど問題ないと思われますが、大人数だと似顔絵を用意するだけでも大変な時間と手間がかかります。状況によっては別途、予定外の経費がかかるかもしれません。
従って、名刺を必要とする従業員を多数抱える場合などで、似顔絵入りを採用するのでしたら営業などの限られた従業員のみにしておくという方法もあります。
その人を端的に表した似顔絵は、人の心を和ませます。写真と比べて表情が柔らかく表現されることも多く、写真以上に印象に残る可能性も多くあります。顔を覚えて貰うにはとてもありがたいツールです。
似顔絵が話の糸口になることも十分考えられますので、大いに活用したいものです。
似顔絵入りの名刺を作りたいと思ったら、まず最初に似顔絵を用意しなければなりません。
似顔絵を描くのが得意な人が周りにいれば、その人に依頼すると良いでしょう。しかし、そういった人がいない場合、似顔絵を請け負ってくれる人を探す必要があります。
名刺を注文する業者が決まっているなら、そこに尋ねてみると案外見つかることがあります。
自社にデザイナーを抱えており、尚且つそういった案件を請け負っている可能性もありますし、もしそうでなくても、伝手で似顔絵を描く人を紹介して貰える可能性もあるでしょう。
似顔絵を描く人が決まったならば、その料金を確認しておくことをお勧めします。
請け負う会社のデザイナーに描いてもらう場合、デザイン料に含まれることもありますが、別料金として扱われることも十分考えられます。後で、予定金額を上回ったなどという事態にならないためにも、事前にはっきりさせておくべきところです。
一方、自前で似顔絵を調達できる場合はデータとして発注先に渡す方が製作がスムーズに進む度合いが増します。もちろん紙などに書き起こした絵でも構わないのですが、近年はパソコン上で画像処理をする業者がほとんどです。
紙に描かれた絵をスキャンすることを考えると、あらかじめ発注元がデータとして用意した方が手間が省けます。それぞれ業者によって発注方法などの違いもあるので、注文時に確認をしておきましょう。
似顔絵入りの名刺はこれから先、あなたの代わりになって何かを語り、相手にほほえみを与えてビジネスチャンスを広げてくれるかもしれません。