名刺デザインの肝

名刺デザインの肝は ズバリ「フォント」と「余白」です。 一度お試しいただきたいデザインがあります。白用紙の名刺に ちょうど中央に程よいサイズでたっぷり上下左右に余白を取り お名前と肩書のみを表面に記載してください。 参照用のデザインなのですが表面に名前のみにしますと余白が文字を引き立ててくれます。 余白という文字は「余った白地」などでは決してなく、「余裕」+「美白」と解釈することができます。 「余裕」は「安心」と置き換えていただくこともできます。デザインにはよく引き算の考え方というのがでてきますが、削れるものを削って削って最小限の記載事項と文字配置になると無駄なく美しいデザインに仕上がるという考えです。余白を最大限に活かすという考え方ですね。

次にフォントの選択ですが、フォントは配色と同様に意味合いや効果、イメージ、テイスト等の性質を兼ね備えています。
フォントに求めるものは何か・・・ ここを基点にして選択するのもよいかもしれません。
選択項目には ①男性的、②女性的、③品格・安心、④古典・伝統的、⑤大和魂、 ⑥先鋭的、⑦やさしさ、⑧力強さ、⑨欧米的、⑩東洋的、 ⑪大胆に、⑫繊細に、⑬元気よく、⑭控えめでしとやかに、・・・・等という選択肢がありますが作成デザイナーはこの中で何を 選択・重視するかで大体のフォントタイプを絞ります。あとはそれぞれの保有フォントがどれだけ揃っているかにかかってきますが、近年はフリーフォントの充実が凄いことになっていますので名刺で使用するのに関してはかなり豊富なフリーフォントの中から選択が可能と言えます。

グラフィックデザインとアートの観点

前回も少し触れましたがグラフィックデザインとアート(芸術)の違いについて名刺のデザインを絡めて述べさせていただきます。
グラフィックの歴史というと近代の印刷技術とともに発展してきた感があります。
当然印刷は部数を大量に作って配布するものですのでそれを活用・閲覧する大衆(マス)が存在します。ということはマスの目線から見て良いもの、支持されるもの、興味を持たれるものに仕上げる必要があります。
必然的にグラフィックは人間心理や行動原則、見た目のとらえ方の原則が関連してきます。もっとも原則性が顕著なデザイン手法としてグリッド式レイアウトなどがあげられます。基準となるグリッドを配して文字段落を当て込むレイアウトは誰の目にもまとまりがあり美しく感じるものです。このような原則を基調にしつつグラフィックデザインは進化してきました。
パンフレットや雑誌類についてはこのグリッド活用とページネーション(ページごとの関連性)によって読みやすさやレイアウトデザインの印象が決まってくると言えます。

本筋から少しずれましたが名刺に於いてもグラフィックの考え方は貴重です。なぜなら名刺は自分のためのものではなく、人様にお渡しするものですから相手の方がどのように受け取るか、感じるかが重要になります。大衆(マス)の受け止めが重要なのはグラフィックの精神と同様です。
但し、名刺のデザインはアートの観点があっても良いのでは・・・とも考えております。デザインや、レイアウト、コーディネートの世界においては「崩し」や「はずし」という言葉がありますがこれは定形スタイルで物足りない上級デザイナーがあえて崩したスタイルを指します。もちろん原則を理解したうえで崩しをかけるのですが、これもいわゆるグラフィックの範疇といえます。 さて、最後にアートとは大衆(マス)を基準には考えないとも言えます。アートは唯一絶対の価値を認める人がその対価として求めるものだからと言えるでしょう。そのため後世になって価値が跳ね上がるという特徴もあります。またグラフィックは大量生産を前提として企画だてられますがアートは1点ごとに心血を注いで作り上げるものという傾向もあります。

グラフィックデザインと名刺の校正

更に名刺に目を向けて突きすすんでみます。 皆様は名刺を作成するときに何を重視しますでしょうか。当然職種によってポイントやデザインのタイプなどは変わってくると思います。 が、あえて一つの点に絞るならそれは「ひととなりの表現」ではないでしょうか

自分は何が売りなのか、どういうことを重視している人なのか、こういうことを主張していきたい、このような方に知ってもらいたい等々 自分というものをあの小さな名刺に表現したいという思いが皆様お持ちだと思います。そこにはそれこそグラフィックの原点といえるクライアントの要望をデザインで表現する技術がマストの条件になってくると考えます。 このような観点から名刺の作成時に何度でも修正・校正が可能なことは大きな利点になると思います。 完成した名刺がご注文者の方の「ひととなり」を余すところなく表現して、納得いただける名刺に仕上げることが大切であると考えています。

更新日: 2020/08/19 カテゴリ: 名刺デザイン 名刺のこだわり
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